Kunsthal

ロッテルダムは何と言ってもRem Kookhaasの事務所OMAがある町。
http://www.oma.nl/

作品も初期の代表作KUNSTHALがあります。ちなみに”HAL”は上下逆さまが正しい表記だそうです。

で、早速行ってきました。
http://www.kunsthal.nl/




空間操作のコンセプトとしては、「敷地にある高低差を利用してスラブを曲げたり傾けたりすることで異なるフロアを繋げながら、同時に水平方向にもずらすことで相互に貫入させる。」と言った感じでしょうか。この「異なるフロアを繋げる。異なる場所をを関係づける」といったテーマは初期から現在までOMAの一貫したものでもあります。

ミュージアムに入って一番最初にいきなりシアターに出るのはなんともOMAらしい演出。そこから一度地下に入って動線上に並んだ展示スペースを巡って行きます。この動線を「空間化する」というのもOMA建築の一つの特徴です。

このミュージアムは独立したいくつかの小規模な企画展示用のスペースから構成されており、それらを順番に廻って行くことで下階から上階へと上がっていきます。

非常にいいなぁと思うのは、各展示室にはそれぞれショートカットが許されているということです。つまり、展示室にそのまま入る道と見なくてもいい展示をとばして次に行く道という2通りの道が用意されていて、いくつかの分岐が存在していることです(しかもさりげなく)。
そもそもこのミュージアムのエントランス自体が敷地の上を通る道路から下の公園へと通り抜ける道としてデザインされていて、そこからの分岐としてミュージアム内部に入るという行為が捉えられているのです。

かといって逆に「え?そんな展示あった?気付かずに出てきちゃった…」 なんてことが無いように非常にうまく動線がコントロールされてもいます。

この事務所の凄いところは造形的にかなりぶっ飛んだことをやりながら、その操作の理由付けが必ずされていることでしょうか。ボリューム上の操作によって偶然出来たかのようなズレや隙間も、それがあることによってシークエンスやスペース同士の関係性がぐっとオモシロくなるような体験上の操作へと昇華されています。コールハースの建築がフォルム脱構築建築とは一線を画す理由だと思います。

ちなみに展示を最後まで見ると出口の所にコールハース肖像画があります。これを最後に持ってくるとは。


つづく。